Vixen AGA-1 auto guide adaptor know how
(貧乏人の為の)追尾撮影のコーナー!
天体写真を始めると、固定撮影で日周運動を
写すのは実はすぐ飽きてしまう。天文雑誌に載っているようなM31アンドロメダ銀河の
写真が撮りたい!と思うようになると日周運動を追いかけて、追尾撮影(ガイド撮影)を
行うこととなる。
原理的には経緯台でも、水平、垂直、写野の回転を追いかければ、追尾撮影は可能
なハズであり、すばるのような巨大望遠鏡は多分そうしているのだろうが、3軸制御は
難しいので、普通は赤道儀を使って行う。
私も中学、高校の頃は、接着剤に糸を引かせて作った*1レチクル(十字線)入り接眼鏡で、
極軸望遠鏡も無い赤道儀を日周運動を5分くらい追尾しては基準星の流れ具合を見て
赤道儀の角度を補正するという忍耐力の挑戦みたいなことをやってました。(今年の
夏頃の天文ガイド誌の付録アルミシールにもやり方載ってます)そして、赤道儀を
地球の地軸と並行に合わせたら、基準星(ガイド星)がレチクルの中心に居続ける
ように、赤経微動ハンドルと赤緯微動ハンドルを回しながら(モータドライブなんて
当然無いっす)、時計をちらちら見ながら、カメラのレリーズを切る、という千手観音
みたいなことをやってました。冬なんて寒くて、当時流行ったダウンジャケット
着てても歯の根が合わないくらいガチガチいわせながら、朝明るくなるまで撮影して
「今日は晴れてて良く撮れた」とか言って、放射冷却でめちゃめちゃ寒いっちゅうねん!
馬鹿なので風邪はなかなか引きませんでしたが、学校行って寝てたので馬鹿に磨きが
かかりました。:-)
*1: 接着剤の糸自身に接着能力が有るので、ヨリ銅線や糸をほぐした繊維を
くっ着けるより楽。また蜘蛛の糸みたいに、自分の手にまでくっ着かない。
20年振りに天文の世界に復活したものの、もう歳なのであんなことやりたくないなと
機械にオートガイドさせることにしました。天文雑誌の入選作品のデータを見ると
皆さんSBIGの冷却CCDカメラでやられていますが、ST-4やST-5はもはや入手困難で、
現行のST-237AやSTVは25〜35万円くらいして手が出ません。なるべく安価に自動
追尾撮影できないものかとチャレンジして、ほぼ満足の行く結果が出ましたので、
これからガイド撮影に挑戦される方の参考になればとWWWページを起こしました。
最初、GP-E赤道儀+二軸モータドライブDD-1によるノータッチガイドだったのですが、
105mm 15分くらいの追尾なら成功します。ネットで他の人の様子を見ても135mm 10分
くらいなら行けるようです。ところが200mm 5分となると急に失敗率激増です。
フィルム1本中、成功は1コマか2コマしか無いという状態でした。
そこでVixen AGA-1オートガイドアダプタに、流星撮影用に買ったWATEC NEPTUNE100
(WAT-100N)の組合せです。ガイド鏡にはVixen ED80S誠報社特別仕様を使用。ガイド
撮影用に接眼部を強化してあるそうだ。ただ雑誌の投稿欄に入選しようとかいうので
なければ過剰品質です。焦点距離が長過ぎて狭いCCDチップに基準星を導入するのが
困難です。結局くじけてCCDレデューサを使ってたりします。
R200SS+エクステンダを使っての長焦点撮影や拡大撮影も楽勝なので、フォトコン入選
を狙うなら良いですが、普通はGS-70Sクラスのガイド鏡か、少し奮発してBORG 76ED
を買っとけば良いでしょう。また2軸モータドライブDD-1は改造が必要です。3000円
なのでVixenに出せば良いでしょう。SkySensorなら最初からコネクタ付いているので、
改造不要でAGA-1が接続できます。
AGA-1にはボタンが4つ付いていて、左から
- Level Check
- Drive Check
- Guide
- Pause
となっています。これを1->2->3の順に押していってガイド撮影し、雲が流れてきて
中断する時は4.Pauseを押すこととなっています。ところが実際に使ってみると、
1や2のキャリブレーションにやたら時間が掛かります。1.Level Check
を押すと、写野中心(モニタには十字線が出ます)付近の明るい星をド中心に導入
してガイド星としての明るさをチェックするのですが、この星が中心から少し
離れていたりすると、この1.ボタン完了の緑LEDが点灯するまでに10分くらい
掛かります。そして2.Drive Checkで赤道儀のギヤ比やバックラッシュを学習
するのですが、これまた10分から15分くらい掛かることが有ります。1で明るさ
チェックが完了した時に、ガイド星が何故か中心からえらく離れた位置で完了
することがままあるのですが、そんな時は2.にかなり時間が掛かるので、手動で
DD-1を操作してガイド星を中心付近に持ってきてから、2.ボタンを押した方が
良いです。もちろん、DD-1の速度は最も低速な(x0.5)にしておきます。
SkySensorの場合は、実は最近(x0.9)の設定で運用していたりするのですが、
1倍速を超えると過修正になって、ガイド星がどんどん離れて行く一方で、
キャリブレーション不能になることが多いです。そして完了の合図である
2.ボタンの所のLEDが緑色に点灯したら、またガイド星を中心に持ってきて、
3.本番ボタンを押してガイド開始です。当初、マニュアル通りにやっていたら
1.と2.のキャリブレーションに合計30分近く掛かる時が有り、「この間にもう
1コマ撮れるやんけ!」と思い、色々マニュアルに無い使い方を探り始めました。
そもそも1.で明るさチェックする時に、せっかく基準星を中心付近に持って来る
んだから、その時に2.の赤道儀キャリブレーションもやれよ!と思うのだが。
そして分かったことのうち、撮影能率を上げるのに有効なノウハウは、
- 1.の明るさチェックは、モニタでガイド星が確認できるくらい明るければ実は
不要。AGA-1はモニタで確認できないくらい暗いガイド星でも、あるいはガイド星
にシリウスみたいに明るい星を使っていればすっかり明るくなって太陽が昇って
来ても、ガイド可能です。
- 2.の赤道儀キャリブレーションは1回やれば、子午線越えをしない限り、実は
不要。子午線越えをしない限り、撮影対象やガイド星を変えようが、問題無く
追尾します。なので、なるべく子午線越えをしないように撮影計画を立てるのが
吉です。マニュアル通り、毎回ガイド星を変える度にキャリブレーションを
取り直す必要は無いと思います。
- WATEC NEPTUNE100を使う場合は、実はコントローラは不要。余程暗いガイド星
を使うのでなければアンプでゲインを上げてやる必要も無いし、むしろコントローラ
とそのケーブルが重くて、ガイドミスの原因になりかねない。
- ガイド精度を上げるには、星像は少し面積を持っていた方が良い。星像が
1画素の点になっているとかえってギクシャクします。わざと少しピンボケにして
直径2〜3画素で構わないから、面積を持つ星像にした方がスムーズです。どうも
AGA-1は単に星像を見ているのではなくて、画像の重心位置を見ているように
思われます。
CCDカメラには、WATEC NEPTUNE100(WAT-100N)を使っています。VixenもCCDカメラ
を一応出していますが、買ってはいけません。性能といい、価格といい、
Vixen自身が買うな!と言ってるようなものです。これに対し、NEPTUNE100なら
流星観測にも使えます。
あるいはミード(MEADE)のエレクトリックアイピースという手もあります。これでも
コントラスト ボリュームの調整次第でかなり暗い星までガイドに使えます。
(2002/12/01)今日試したら、6等星まで使えました。これでh-χの1時間ガイドに成功。
安いし(4980円)、
軽いし、Cマウントアダプタ不要で、31.7mm or 24.5mmの接眼スリーブに付くので
お勧めです。普通のアイピースでガイド星を導入してから、差し替えるだけなので、
チップ面積は狭いですが、導入は非常に楽です。ネジ込C-mountと違ってレボルビング
(回転)も簡単なので、東西方向をモニタ画面の水平方向と合わせるのも楽チンです。
ただし、接眼部は誠報社とかが出している強化接眼部が必須です。
単にネジ止めが2点止めになっているだけなのですが、普通の1点止めだと、ガイド
中に赤道儀や望遠鏡の向きが変わるにつれ、カクッと動いてしまいます。あるいは
タカハシみたいにスリワリ締め付け式だと理想的なのですが…。それと寒い夜に
006P乾電池で長時間連続使用というのは非現実的なので、電源は別に取りましょう。
作例
2002/11/29 00:45:00 Vixen R200SS(f=800mm F4) +コマコレクタ,+LPS-P1 光害cut,
HB-120T(film真空吸引) KODAK TP6415水素増感,
ガイド鏡 Vixen ED80NZ誠報社仕様(D=80mm,f=720mm,F9)
テクニカルパンの粒子で見てもガイドは流れていない。また、ブローニサイズ
の広い写野全体で見ても、写野が回転したりしていない。
まとめ
- 赤道儀
- Vixen GP-E, タカハシEM-100マーキュリー計画化済を使っています。
AGA-1で制御できるモータドライブが使えるなら、GP-Dでも、ATLUXでも、
EM-200誠報社NZ仕様でも何でも良いでしょう。
- モータドライブ
- 2軸モータドライブDD-1(Vixen改造)、SkySensor2000PC等、
AGA-1が繋がればOK.無花果モータドライブSD-1は使用不可と思われます。2.の
赤緯キャリブレーション不能なので。ガイド精度は同じ0.5倍速なら、実はDD-1
の方が良い気がします。消費電流も少ないし。でも撮影対象を次々導入していける
SkySensorは、撮影能率という点で優れています。
- オートガイダ
- AGA-1. このWWWページの主役です。
- CCDカメラ
- WATEC NEPTUNE100(WAT-100N)。あるいは、MEADE エレクトリック
アイピース(4980円)の電源を外部供給で決まり!です。注意するのはCCDの向きです。
DD-1もしくはSkySensorの場合はRaDecもしくはx-yモードで、東西方向に少し動かして、
モニタでガイド星が流れる方向を横方向になるように、CCDカメラの向きを回転
します。これが垂直方向になっていたりすると、朝まで掛かっても
キャリブレーションが終りません。アフィン変換くらいしろよ!と思うのですが。
- ガイド鏡
- BORG 76EDが良いでしょう。ガイド鏡としてだけでなく、撮影鏡
としても使えますし。もちろんガイドにしか使わないと割り切って、GS-70Sや
ミザールGT-80Sでも
良いでしょう。ヤフーオークションで焦点距離400〜500mmアクロマート鏡を
探しても良いでしょう。3000〜5000円くらいで落札できるようです。50mmファインダ
+バーローレンズという手も、しっかり固定できるなら使えるかもしれません。
誠報社仕様ED80NZは過剰品質だと思いますが、フォトコン入選を
狙うならこっちの方が良いでしょう。また、高倍率で惑星観望なんかに使うと、
29800円という値段では考えられないような良像を結びます。ただいずれにせよ、
NEPTUNE100でも冷却CCD程の感度は
無いと思うので、その分ガイド鏡の口径の大きさでカバーする必要があると
思われます。また強化接眼部は必須です。ネジ2点止め、もしくはスリワリ締付式
にしましょう。36.5mm->31.7mm or 24.5mmの強化接眼部なんて全然安い(1620円)
ものですし、これで撮影失敗のコマが減らせるんだから、費用対効果は絶大です。
ガイドミス!何故?私の場合
先日、現像から上がってきたフィルムを見ると、星像の流れたガイドミス写真を
大量生産していた。流れていないのは、ガイドせずにSkySensor2000PCに計算追尾
させた工藤・藤川彗星くらいのもの。こないだまでこんなこと無かったのに。
この間に変えたことと言うと次の2点。
- ED80NZガイド鏡→レボルバ→CマウントTリング→WAT-100N を
ED80NZガイド鏡→強化接眼部→MEADE Electric Eyepiece に変更。
- ガイドマウントに手が届きにくいので、ガイド鏡の鏡筒バンドを接眼側
一杯まで寄せた。
彗星がちゃんと点(コマあるけど)に写っているということは、極軸やガイド
速度は合っていそう。そこで主鏡にWAT-100Nを取り付け、ガイド鏡にMEADE
electric Eyepieceで恒星時駆動。すると主鏡の方はほとんど動かないのに、
ガイド鏡の方の星像は中心からどんどん南北方向に動いて行ってしまう。
逆にガイド鏡のelectric Eyepieceでガイドすると、主鏡の方の星像がどんどん
逃げて行ってしまう。となると、怪しいのは2.だ。ガイド鏡の先端フードを
手で軽くゆすってやると、ものの見事にグラグラだ。鏡筒バンドはかなり
きつく締めているのだが、鏡筒の端を締め付けるだけではテコの原理で
そこに大きな力が加わるため、ガイド鏡がかなりたわんでしまうようだ。
それが日周運動とともにガイド鏡の向きが変わるにつれ、たわみ方も変わる
ためにガイドミスとなったのであろう。そんなわけで、ガイド鏡の鏡筒
バンドは元通り重心付近に戻した。しかし、やっぱり手が届きにくいので
ガイド星の導入が辛い。BORG 76EDやGT-80Sの様な短筒に、エクステンダや
バーローレンズの方が使い勝手が良さそうです。
AGA-1の秘密(嘘)
ブルックツリーな石でキャプチャして、1chipマイコンでホゲホゲしているものと
思ったら、ADコンバータ+ディスクリートロジック(70HC04とか40HC40とか)で
ブルックツリー相当な回路をゴリゴリ組んでる…。馬鹿だ…馬鹿過ぎる…。
1chipマイコン64180のメモリに収まり切らなかったのか、ROMを外付で持っているし。
しかも今時DIP…。仕様も決まらないうちの試作ならこの方が便利だけど、
出荷する製品でやるかあ?一言で表現すると「トホホ…」。
これがAGA-1
御開帳。日立64180がこいつの頭脳か
2階建て基板の上側も開く
裏返し
設計変更か設計ミスか、足を一部ちょん切ってます。トホホ#1
こいつがAGA-1のキモか?ADコンバータADC-305-3
向きを変えて:DATEL ADC-305-3(変換レート20MHz)
スペーサに通すネジ穴が開いてない。トホホ#2…
モニタ画像のガイド星のふらつきをキャプチャしたMPEG画像がどこかにあるはず
なのだが、どっか行ってしまった。見付けたらまた貼り付けます。
高橋Temma赤道儀との接続
現在は高橋EM-200Temma2Jr.と繋いで追尾撮影しています。Vixen機器は通常と反対に
+接地で逆極性なのですが、上記AGA-1の秘密の写真に有るように、フォトカプラで
絶縁されているので、ガイド出力をEM-200と直結してもOKでした。
現在の撮影スタイル
また上記のWWWページ以下の内容について、正確を期すよう努力は致しますが、
全くの無保証です。ここで得た情報は、全て自分の責任でご利用下さい。
中村和志はこうやってピントを合わせている
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